ネットショップ開業の基礎知識
ここではまず、ネットショップの開業に先駆けて押さえるべき基礎知識を確認していきましょう。
ネットショップは、インターネットを利用して商品やサービスを販売するオンラインの店舗です。主な種類としては、独自ドメインを持つ「独立型ネットショップ」と、複数のショップが集まる「モール型ネットショップ」があります。
参照:Amazon
独立型は、自由なデザインや機能のカスタマイズが可能で、個性的なブランドイメージを強く打ち出せるでしょう。一方、モール型は大手プラットフォーム上での運営となるため、初期投資が抑えられる上に集客も簡単です。
ただ、モール型は競合店舗との差別化が難しくなることも。自身のサービス特性をよく分析して、適切な形態を選択することが重要です。
上記の概要を踏まえ、次はネットショップ開業のメリット・デメリットや開業前のポイントをチェックしていきたいと思います。
- ネットショップ開業のメリット・デメリット
- 開業前のポイント
ネットショップ開業のメリット・デメリット
ネットショップは物理的な店舗を持たないため、初期投資を大幅に抑えられるメリットがあります。事実、日本のオンラインショッピング市場は、2020年に前年比10%以上の成長を見せ、その規模は約17兆円に達するほどです。
また、コロナウィルスの影響でさらに利用者数は続伸しており、もはやネットショップは生活する上で必要不可欠と言っても良いでしょう。
しかし、需要が高い分、競合他社との価格競争が起こりやすく、物流、在庫管理などの手間もあります。
その中で特に注意したいのが、無駄な仕入れによる損失です。たとえば、2020年のブラックフライデーセールの際、あるネットショップは大量の在庫を仕入れましたが、予想に反して売れ行きが鈍く、結果的に大量の在庫を抱えることとなりました。
特に個人事業主の場合はダイレクトに生活を圧迫するリスクがあるため、市場調査やトレンドを見定める審美眼が要されることは言うまでもないでしょう。
【メリット】
- 物理的な店舗が必要なくスモールスタートできる
- 2020年の日本市場は前年比で10%以上の成長
- コロナウィルスの影響で利用者数は前年比20%に増加
【デメリット】
- 競合他社との価格競争が激しい
- 物流や在庫管理の課題がある
開業前のポイント
ネットショップ運営を有利に進めるには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
具体的には、価格設定や商品の選定、ターゲットとする顧客層の特定などが挙げられるでしょう。自分が狙う層を明確に定め、無駄なくアプローチしなければなりません。
ちなみに、成功するネットショップは顧客ニーズをしっかりと捉え、独自性を持った商品やサービスを提供している傾向にあります。
事実、顧客からのフィードバックを元に商品のサイズやデザインを改良することで、リピート率前年比大幅増加を達成した事例もあるほどです。
- 顧客のニーズを捉えた商品やサービスが重要
- 顧客のフィードバックをもとにサービスの改良
- 価格設定・商品の選定・ターゲット層の特定などが必要
- 独自のブランドイメージを構築して競合他社と差別化
ネットショップ開業の登記の必要性
ネットショップは個人事業主としても開業できますが、やはり本格的に事業を行いたいなら、法人登記がおすすめです。
- ネットショップは法人登記がおすすめの理由
- 個人事業主と法人の違い
ネットショップを開業する前に、しっかり押さえておきましょう。
ネットショップは法人登記がおすすめの理由
ネットショップは個人事業主としても開業できますが、本格的に事業を運営したいなら、早い段階から法人登記するのがおすすめです。その理由としては以下の通り。
- 融資を受けやすくなる
- 一定以上の売上規模なら法人の方が節税になる
- 顧客からの信頼性が高まる
もちろん、最初のうちは個人事業主でも問題ありません。先々を見越した施策として念頭に置いておくと良いでしょう。
個人事業主と法人の違い
個人事業主と法人は、税務や責任の範囲、資金調達の方法といった多くの点で違いがあります。
たとえば、個人事業主は設立が簡単で経費計上も柔軟ですが、個人の資産を使って事業を運営する性質上、事業の損失がダイレクトに生活を圧迫するリスクがあります。
対して、法人は設立に手間とコストがかかるものの、事業の損失は「法人の資産」に限定されるので、生活費などを気にする必要はないでしょう。
具体的に、たとえ法人が倒産したとしても、代表者の個人的な資金におけるダメージはゼロということ。もちろん、ある程度事業が軌道に乗ってから法人成りしても問題ありません。ただ、自身のビジネスモデルや将来の展望に合わせて、柔軟に運営形態を選択することが重要です。
- 個人事業主は損失がダイレクトに生活を圧迫する可能性がある
- 法人なら個人資産は守られる
- 事業の先行きを見越して適切な運営形態を選ぶべし
ネットショップを法人登記する手順・必要書類
ここからは、ネットショップを法人登記する際の手順や必要書類を確認してきましょう。
- 必要書類
- 手続きの流れ
- 登記費用・その他経費
いずれも重要なポイントなので、ぜひ参考にしてください。
必要書類
ネットショップの法人登記を行う際は、以下の書類が必要となります。
- 定款:設立目的、資本金、役員の構成などを明記した書類
- 印鑑証明書:法人の代表者の印鑑が登録されていることを証明する書類
- 代表者の住民票の写し:法人の代表者の住所や氏名を確認するための書類 など
上記の他に資本金の納付や役員の同意書なども求められるでしょう。これらの書類を整えた上で、法務局に法人登記を申請します。
ただし、具体的な内容や書類のフォーマットは、設立する法人の形態(株式会社、合同会社など)や地域、時期によって異なる場合も。いざ手続きする際に後手にならぬよう、最新の情報を法務局や専門家から確認するのがおすすめです。
手続きの流れ
法人登記の手続きは、以下のような流れで進んでいきます。事前に把握しておけば、迷わずスムーズに対応できるはずです。
- 事前準備
ネットショップの法人登記における最初のステップとして、事業目的や内容を明確に定義していきましょう。設立に必要な資本金の額・出資者なども確定し、事業計画についても設計する必要があります。
- 定款の作成
定款は法人の基本的な事項を定めた公式文書です。事業内容、資本金、役員の構成といった基本事項を記載し、承認を得なければなりません。
- 必要書類の準備
定款が準備できたら、先ほど触れた必要書類を揃えていきます。代表者の印鑑証明書や住民票の写しなどを取得し、いつでも提出できるようにしておきましょう。ただ、あまり早い段階からストックしておくと、知らぬ間に有効期限が切れてしまう可能性があるので、1~2か月内に使用するような想定で準備してみてください。
- 法務局での登記申請
準備した書類を法務局に提出し、法人登記の申請を行います。この際、登記にかかる手数料や収入印紙なども必要です。代行業者を利用した場合はさらに20~30万円ほどのコストが発生する点にも注意しましょう。
- その他の手続き
法人としての活動を本格スタートするにあたり、法人名義の銀行口座や保険関係も整備しなければなりません。これらの手続きも適切に行い、法人活動の基盤をしっかりと構築することが大切です。
登記費用・その他経費
登記費用は諸条件によって変動しますが、一般的には5~10万円ほどを見ておくと良いでしょう。しかし、初心者は基本的に代行業者を利用することになるため、やはりトータルで20~30万円を想定しておくのがおすすめです。
ネットショップ運営のポイント
次に、ネットショップ運営のポイントをチェックしていきましょう。
- 商品の選定と価格設定
- マーケティングとプロモーションの戦略
- 大手プラットフォームの活用
少しでも有利に運営するためにも、ぜひ参考にしてください。
商品の選定と価格設定
ネットショップの成功の鍵は、顧客のニーズに合わせた商品の選定と適切な価格設定にあると言っても過言ではありません。
たとえば、日本のオンラインショッピング市場は年々活発化しており、特にファッションや家電、食品などのカテゴリは高い人気を誇ります。
このようなデータをもとに市場のトレンドを把握し、自社に合ったターゲットへ適切にPRしていくことで、優位性の高い運営が行えるでしょう。
マーケティングとプロモーションの戦略
ネットショップ運営において、マーケティングとプロモーション戦略は欠かせない要素です。ただネット上にサービスを並べただけでは誰の目にもとまらないので、SNSや広告なども活用し、ターゲットへアプローチしてみてください。
また、インスタグラムやTwitterで商品を知り、実際に購入するユーザーは消して少なくありません。フォロワー数がそのまま売上に繋がることも多いので、積極的に取り入れていきましょう。
大手プラットフォームの活用
知名度やブランドが確立されていないうちは、個人のサイトを利用するのではなく、大手プラットフォームを利用するのがおすすめです。
- Amazon
- 楽天
- Yahoo! など
規模や利用者数が大きいプラットフォームに出店することで、集客の手間を最小限にとどめられます。また、Amazonには出来高制の広告もあるので、こちらもフル活用したいですね。
ネットショップのトラブル事例と対処法
ここからは、ネットショップでよくあるトラブル事例と具体的な対処法を解説します。
ただやみくもに運営していると、思わぬトラブルに遭遇してしまうので、事前にしっかり備えておきましょう。
顧客トラブルの主な原因
ネットショップ運営における顧客トラブルは、市場規模の拡大とともに増加の一途をたどっています。
主な原因としては、商品の不良、配送の遅延、そして返品や交換に関する問題が挙げられるでしょう。
事例を通じた顧客トラブルの対処法
ここでは、トラブルの対処法をチェックするために、具体例を交えて確認していきたいと思います。
ネットショップAはアパレル系の製品を販売する店舗でしたが、比較的たくさんのクレームが入っていました。その内容は「商品画像と現物の色が違う」というもの。
たしかに、サイトにアップされている製品は同一であるものの、光の当たり具合でややくすんだ色合いとなっており、現物とは異なる印象でした。
そして、ネットショップAはそんな状況を解消するべく、商品ページに「画像はイメージです。実物と色が異なる場合があります」との注意書きを追加しました。これにより、クレームの数は大幅に減少。無駄な工数を削減し、ショップの信頼性も取り戻せたのです。
法的トラブルの回避策
ネットショップを安全に運営するなら、法的な側面も考慮しなければなりません。
たとえば、他社の商品画像を無断で使用したことが原因で、著作権侵害の訴訟問題に発展するケースも少なくありません。
Amazonなどで商標登録した製品を無断販売されることもあるため、常に市場をチェックして法的側面における防御力を固めておくと良いでしょう。
ネットショップの開業ならバーチャルオフィスがおすすめ
インターネット上で事業を行うネットショップであっても、法人登記するための「住所」は必要となります。ただ、ここで自宅の住所を公開するとプライバシーが侵害されるリスクがあり、事務所を賃貸するにしても数十万円規模の出費となるでしょう。
そこでおすすめなのが、住所だけをレンタルできるバーチャルオフィスです。
- 月額数百円から利用できる
- 一等地の住所をレンタルできる
- 秘書代行などのサービスも提供している
また、バーチャルオフィスは法人登記しない場合にも重宝するので、以上の利点を踏まえた上で、今度は利便性の高いサービスを3社紹介します。
【おすすめバーチャルオフィス】
- レゾナンス
- GMOオフィスサポート
- DMMバーチャルオフィス
レゾナンス
レゾナンスは業界トップクラスの利用者数を誇るバーチャルオフィスで、法人登記込みの月額料金としては最安値水準です。
ただ、月額料金の安さとは裏腹に、電話応対や転送サービスなどの品質は非常に良好。多くのユーザーから高評価を獲得しており、初心者にもっともおすすめできるバーチャルオフィスの1社といえます。
GMOオフィスサポート
参照:gmo-office
GMOオフィスサポートは、大手インターネット業者が運営するバーチャルオフィスです。関東から関西まで幅広い住所を提供しており、ユーザーからの評価も抜群。さらに、初年度の基本料3か月分が無料になるキャンペーンも開催しているので、コスパ重視の方にもおすすめといえます。
DMMバーチャルオフィス
DMMバーチャルオフィスは、法人口座の開設実績が豊富で、東京の一等地の住所が借りられる点も大きな魅力です。
オプションをつけると月額数千円になる可能性はありますが、事業の効率を高めたいのなら、有効な選択肢といえます。
ネットショップは法人化して開業しよう
本記事では、ネットショップ開業で法人化がおすすめの理由や、顧客とのトラブル回避術などを解説してきました。
法人化というと少し仰々しいイメージもありますが、以下のように事業を有利に運べるメリットがあり、初心者にも大変おすすめです。
【法人化がおすすめの理由】
- 融資を受けやすくなる
- 一定以上の売上規模なら法人の方が節税になる
- 顧客からの信頼性が高まる
そして、バーチャルオフィスを活用することで、不動産賃貸のコストを削減し、一等地の住所で登記できるので、少しでもスモールスタートで安全性と高めたい方は、ぜひ検討してみてください。